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劣化対策等級とは?

劣化対策等級とは?

劣化対策等級とは住宅の耐久性を評価する基準で、構造躯体(柱や梁など)の劣化を軽減するための対策を評価します。

住宅性能表示制度における評価項目の1つで、等級は1~3の3段階に分かれており、
等級の数字が大きいほどより耐久性が高く、より長い耐用期間を確保できることを表しています。
(構造躯体の材料を交換するなどの大規模な改修工事が必要になるまでの期間が長いということ)

 

住宅性能表示制度

住宅性能表示制度とは、住宅の性能が正しく評価され、安心して住宅を購入できるようにするための制度で、2000年4月に施行された「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」に基づいています。

 

 

等級別の詳細

 

劣化対策等級1

建築基準法で定められた劣化対策がされている場合。
劣化対策等級の中で最も低く、1世代にあたる25~30年が経過すると、大規模な改修工事が必要となります。

 

劣化対策等級2

劣化対策により、2世代(50~60年)までは大規模な改修工事が不要になるよう対策されている場合。
木造住宅の場合は、木材の防腐・防蟻措置、土台・地盤・基盤などの構造部材が一定の基準を満たしていれば等級2となります。

 

劣化対策等級3

劣化対策により、3世代(75~90年)までは大規模な改修工事が不要になるよう対策されている場合。
等級3は最も基準が厳しく、浴室と脱衣室の防水措置、地盤の防蟻措置、基礎の高さの確保など、8項目の基準に適合する必要があります。

また、等級3は「長期優良住宅」の認定に必要な条件でもあります。

 

 

等級の評価基準

劣化対策等級の評価は、使用する材料によって劣化対策が異なるため、住宅構造別に異なる基準が設けられています。
住宅の主な構造として、木造・鉄骨造・鉄筋コンクリート造が挙げられますが、今回は木造に焦点を当ててご紹介します。

 

木造住宅

木造住宅では、水分や湿気による木材の腐朽やシロアリ被害への対策を評価します。

 

等級1 〇構造部材等の基準への適合
等級2

〇外壁の軸組の防腐・防蟻措置
〇土台、浴室・脱衣室、地盤、基礎、床下、小屋裏、構造部材等の基準への適合

等級3

〇外壁の軸組の防腐・防蟻措置
〇土台の防腐・防蟻措置
〇浴室、脱衣室の防水措置
〇地盤の防蟻措置
〇基礎の高さの確保
〇床下の防湿・換気措置
〇小屋裏の換気措置
〇基準法施行令規定に対する構造部材等の適合

 

鉄骨造

サビによる劣化への対策を評価する

 

鉄筋コンクリート造

鉄筋のサビやコンクリートの傷み対策を評価する

 

確認方法

劣化対策等級は、「住宅性能評価書」にて確認することが出来ます。
住宅性能評価書は、「設計住宅性能評価書」と「建設住宅性能評価書」の2種類に分かれます。

 

【設計住宅性能評価書】
設計図を作る段階で住宅に対する評価をまとめた書類で、施工・完成段階では確認できない箇所を評価します。

【建設住宅性能評価書】
施工と完成の段階で住宅に対する評価をまとめた書類で、設計図書通りに施工されているかを評価します。

*これらは、国土交通大臣などに登録された第三者機関によって公平に審査されます。

 

 

劣化対策等級がある住宅のメリット

 

メリット1|住宅ローンや地震保険などの優遇を受けられる

建設住宅性能評価書の交付を受けると、住宅ローンや地震保険の支払いの一部が控除される場合があります。
また、一定の要件を満たせば、フラット35の手続きが簡素化できるというメリットもあります。

 

メリット2|メンテナンス費用を軽減できる

長く住み続けられるよう耐久性を高くしているため、建て替えや大規模改修などの費用を軽減することが出来ます。

 

メリット3|資産価値が落ちにくい

一定の性能を認められ、耐久性の高さや耐用年数の長さが保証されているため資産価値が落ちにくく、売却時に有利になる傾向にあります。

また、トラブルが発生した場合も、建設住宅性能評価書が交付されている住宅は、国土交通省指定の機関に相談でき、解決費用や時間を抑えられます。

 

 

この記事のまとめ

  1. 劣化対策等級とは、構造躯体の劣化を軽減するための対策の程度を示すもので、3段階に分けられています。
  2. 等級1は最低限定められた対策、等級2は2世代までは大規模改修が不要となるような対策、等級3は3世代まで大規模改修が不要となるような対策で、最も基準が厳しくなっている。
  3. 等級は住宅性能評価書で確認することができ、住宅ローンの優遇やメンテナンス費用の削減などのメリットがある。

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