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親の家をどうする?|実家の相続・活用・解体の選び方

 

「親の家」が突然あなたの課題になるとき

 

 

ある日突然、実家の管理や相続の話が持ち上がる——そんな場面は誰にでも起こり得ます。
両親が高齢になった、施設に入所した、あるいは他界したというタイミングで、親の家をどうするかという課題がのしかかってきます。

「まだ先のこと」と思いがちなテーマですが、事前の備えがあるかないかで、相続の手続きや家の活用方法、家族間の関係性にまで大きな差が生まれます。
まずは現状を正確に把握し、家族での対話をスタートすることが、後悔しない第一歩です。

 

 

相続したらすぐ住める?実家の現状とリスクを知る

「実家にそのまま住めばいい」と思っても、実家が築30年以上経っている場合、老朽化や耐震性能の不足、断熱性能の低さなど、現代の暮らしに即していない点が多々あります。
設備も古く、給排水管や屋根、外壁などに不具合があれば、リフォームには数百万円単位の費用がかかる可能性も。

また、兄弟姉妹で「共有名義」にしてしまうと、売却や建て替えに全員の同意が必要となり、手続きが非常に複雑になります。
相続したあとに住む予定がなく、将来的に売却や賃貸を視野に入れているなら、名義や持ち分は慎重に検討しましょう。

 

 

実家の相続税、減額のポイントを知っておこう

親の家を相続する際に気になるのが「相続税」。
土地と建物に課税されますが、条件を満たせば評価額を大幅に軽減できる制度があります。
代表的なのが「小規模宅地等の特例」。これは、被相続人が住んでいた土地を、同居していた相続人などが引き継ぐ場合、土地評価額が最大80%減額されるというもの。
一方で、別居している子が相続した場合などには対象外となるため、早めに相続人の構成や住居状況を確認しておくことが重要です。

また、「空き家の3,000万円特別控除」は、一定条件のもとで空き家を売却した際に譲渡所得から3,000万円を控除できる制度です。これも年々改正が入るため、最新情報を専門家と確認しておきましょう。

 

出典)国税庁「小規模宅地等の特例」

出典)国税庁「空き家の3,000万円特別控除」

 

 

相続税の試算方法と基礎知識

相続税が発生するかどうかの目安は、まず「相続税の基礎控除額」を知ることから始まります。

控除額の計算式は以下の通りです:
3,000万円 +(600万円 × 法定相続人の数)

たとえば相続人が子ども2人の場合、控除額は4,200万円。親の全財産(土地・建物・預貯金・有価証券など)の合計がこれを超えていれば、相続税の申告と納税が必要になる可能性があります。
家や土地の評価額は「固定資産税評価額」や「路線価」を元に計算されますが、実際の税額は資産構成や特例の適用によって大きく変動します。

税務署の無料相談や税理士への試算依頼も可能なので、心配な場合は早めの行動がおすすめです。

 

出典)国税庁「相続税の計算」

 

 

活用する?売却する?選択肢ごとのメリット・デメリット

親の家を相続した後の選択肢には、大きく分けて「住む」「貸す」「売る」「解体する」があります。
それぞれにコストや手間、将来への影響があるため、ライフスタイルや家族構成を考慮して慎重に判断しましょう。

 

選択肢 メリット 注意点・コスト面

住む

思い出の家に住み続けられる
資産を活かせる

リフォームや耐震改修の費用が必要
貸す

家賃収入で資産を有効活用できる

管理の手間、空家リスク、修繕義務あり
売る

固定資産税や維持費を手放せる
現金化できる

仲介手数料、譲渡所得課税の可能性あり
解体

更地として再活用・売却が可能

解体費用、固定資産税の増額リスク

 

 

空き家にしない工夫:実家の“次の活用法”を考える

空き家のまま放置してしまうと、資産価値が下がるだけでなく、防災・防犯上の問題や近隣トラブルの原因にもなります。
特に地方では、空き家対策条例により自治体から指導や勧告を受けるケースも。

実家の使い道として、最近は「二世帯リフォーム」「賃貸住宅化」「民泊やシェアハウスへの転用」など、柔軟な活用例が増えています。
また、市町村によっては「空き家バンク」「空き家活用補助金」「老朽危険家屋除却支援」など、所有者の負担を軽減するための制度を用意していることもあります。佐世保市では過去に除却費用の補助制度が設けられていました(年度によって異なるため、最新情報は市の公式HPをご確認ください)。

 

出典)佐世保市「空家バンク【させぼ暮らし】」

 

 

 解体の判断基準と注意点

解体という選択肢は、家としての価値がなくなってしまった場合や、土地として活用・売却したい場合に現実的です。
ただし、住宅が建っていた土地には「住宅用地の特例」により固定資産税が軽減されていますが、家を解体するとこの特例が適用されなくなり、翌年から税額が最大6倍になることも。
解体費用も100〜200万円前後と高額なため、補助金の有無や更地後の活用計画まで含めて判断しましょう。
必要に応じて、土地家屋調査士や不動産会社にも相談を。

 

 

実家の“これから”を考えるのは、家族への思いやり

実家の問題は、単なる不動産処理ではなく、「家族の歴史」と「これからの生き方」が重なるテーマであり、また多くの思い出が詰まっているからこそ、手放す決断や処分にためらいがあるものです。
しかし、気持ちの整理を後回しにして放置すればするほど、手続きや維持費用、家族間トラブルなどのリスクが増えていきます。

大切なのは、親が元気なうちに家族で話し合い、「誰がどうするか」「何に備えるか」を明確にしておくこと。
将来の負担を減らし、安心して家族の未来を描くために、今できる行動をはじめてみませんか?

 

 

この記事のまとめ

  1. それぞれの選択には費用や手間、税金など異なる課題があるため、家族と早めに方針を共有することが大切です。
  2. 基礎控除額=3,000万円+(600万円 × 法定相続人の数)。評価額や持ち家の資産状況を事前に確認し、専門家への相談も検討を。
  3.  相続登記の義務化や空き家リスクにも備え、必要な書類・制度・補助情報を早めに整理しましょう。

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